ウランガラス

ウランガラスと放射能


ウランガラス

ウランガラスに関して、ガラスの着色料として放射能物質のウランを使用しているので危険はないのかという質問をよく受けます

結論からいうと市販されているウランガラスは、身の回りに置いたり、身に着けても、健康に全く影響はありません
このことは米国政府の公式文書に記載されています
(10CFR40「Domestic Licensing of Source Material(核物質の許認可規定」)

自然界にある放射線

私たちは生まれた時から自然にある放射線を浴びて生きています
その量は世界で1人あたり年間約2.4msSV、ブラジルのガラバリでは約10mSvです
日本人が1年間に受ける平均的な放射線量は1人あたり年間約1.5mSv
医療機関(X線診断等)も含めると約4.4mSvです
1Sv(1,000mSv)以上の高い線量を受けると、臨床的に問題となります

ちなみに体内にも放射性物質があり、体重60kgの日本人の場合は11,020ベクレルです
※放射線量は、文部科学省発行「放射線による影響 - 文部科学省」より

放射線、放射能に関しては、「塩分」に例えるとわかりやすいと思います
「塩分=塩1粒でも人体に危険がある」という人はいないはずです
塩分で人体に影響がでるのは過剰摂取した時です

「放射線、放射能=微量でも人体に危険がある」ということではなく、受けた量の多さが問題となります

ウランガラスの放射線量

ウランガラスの実際のウラン使用率(含有率)は0.1%~1%ほどであり、100グラムのウランガラスの放射線量は2400ベクレル程度です
2400ベクレルというとすごく放射線量が多いと思われるかもしれません

先ほども書きましたが、体重60kgの日本人の場合、放射線量は11,020ベクレルです
体重60kgの成人男子では、体重の0.2%に相当するカリウム40でも約4000ベクレルになります

人体の放射線量と比べるとわかる通り、人体への危険性はほぼないと考えられます
ウランガラスに含まれる放射線量と比べると、満員電車の方がかなり放射線量が多いです

ウランガラスと核分裂

ウランガラスは、その内部では核分裂が起こり続けています。
核分裂というと怖いイメージですが、ウランガラスに含まれているウランの量が微量なので、いきなり爆発するということはありません

面白いのは、核分裂を起こして続けていることにより、製造されて何年経っているか正確にわかることです
ウランが核分裂を起こす時に、ガラスの中にある他の物質を破壊し、肉眼ではとても見えないくらい小さい穴を開けます
この穴の開いた数と表面積、ウラン濃度などを元に計算すると、製造年がわかります

ウランガラスは日常的に使い続けても安心

ウランガラスは置物、食器、日用品、アクセサリーなどが製造されました
食器などを使い続けた場合、ウランが溶け出すんじゃないかと心配になるかもしれません。

アメリカにウランガラスを純水、酢酸、硝酸などに24時間浸し、溶け出るウランの量を調べた研究者がいます
研究の結果、ウランが溶け出ることはなかったと報告されているので、ウランガラスを日常的に使用しても問題はありません

ウランガラスが割れても、ウランだけ飛び出すということもないので、もし割ったとしても心配いりません
(割れたウランガラスを捨てる際は、市町村で決められたガラスの捨て方と同じで問題ないです)

参考資料

ウランガラス同好会HP:http://uranglass.gooside.com/
Wikipedia『ウランガラス』
岩波ブックセンター「ウランガラス」苫米地顕・著
北辰堂「骨董ファン Vo.14」
里文出版「日本のウランガラス」 大森 潤之助・著
文部科学省発行「放射線による影響 - 文部科学省」
2016年1月9日、骨董ジャンボリー特別展「魅惑の光:ウランガラス」
苫米地 顕(とまべち けん)博士トークショー「ウランガラスの歴史と鑑賞」

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